娘が6歳、買ったばかりの20インチの自転車に乗って、3km先の公園まで初めて乗っていった時の話です。 ちょうど1年生になったばかりの娘は、それまで乗っていたキッズ用自転車にはなかった「自転車のカギ」というものをいたく気に入ったようで、ちょっと近所の店先に乗って行ってても鍵を外し、つけるたびに喜んでいました。 母親の私は微笑ましく思いながらも、「多分近いうちに無くす…それも最悪のタイミングで」と確信していました。 しかし娘も1年生、いつまでも親が注意してばかりでもいけないだろうと思った私は(ちょうどそういう本を読んだばかりでした)、あえて指摘せずにその時を待っているような状態でした。自分で失敗した方が教育にもいいだろうと、思っていたのです。 その日、娘と息子と夫の3人で、2台の自転車(息子と夫は子乗せ自転車)で少し遠くの公園に行くと朝から出掛けていきました。 出掛ける前、「あれ、自転車の鍵がないー。まあいっか、もう1つの鍵使うね!」と勢いよく出掛けていく娘に「おいおい」と思いましたが、私は私で自分の用事に夢中で大して気にも留めませんでした。 余談ですがその日はこどもの日。餡子をこよなく愛する私はどうしても和菓子屋に柏餅を買いに行きたかったのです…! そして人気のお店で長蛇の列に並び、まもなく会計だというところにLINEがピロリン♪と鳴りました。夫からです。 「きんきゅーじたい」 間もなく電話が掛かってきて、私は断腸の思いで列から外れ電話に出ました。緊急事態?!事故かな?!心配症の私の心は乱れます。 夫は言いました。 「〇〇が自転車のカギ無くして見つからないんだよー。悪いけどさ、今から家に戻って家にあるスペアキーを探してここまで持ってきてよ」 「!!!!!!」 それ緊急事態ちゃうやんけ、私の柏餅どうしてくれんねん、スペアキー持ってくだけならともかく探して?!スペアの意味ないやんけ、ろくにバスも通ってないそこまでどうやって持っていくねん… 生まれ言葉の紀州弁で私は家族を罵りました。もちろん心の中でです。口からは 「探してからやからいつになるか分からんで…」 力のない言葉が出ただけでした。 結局、1時間半後に私の超ファインプレイにより鍵は届けられました。家探しして娘のリュックの中からスペアキーを見つけ、夫の乗りにくいロードバイクに乗って届けたのです。そんな健気な娘に娘は「ありがとー、あぁ暑かった~、アイス買って帰ろうよ」と軽く礼を言うのです。 私は親としてビシっと言わなくてはと思いました。 「いっしょに待ってくれた2人にも謝りなさい。あと今日は柏餅!」 ビシっと言えたかはわかりません。 その後この体験から学んだ娘は、スペアキーを作り直し、鍵に鈴のキーホルダーをつけて「これなら落としてもわかるね!」と言っています。リスク管理不十分じゃね?